10年前に一度だけ、今井さんと現場でご一緒させて頂いたことがある
仕事をしつつ「おおー、WINDS OF GODの兄貴だー!」とチラ見した。
今井さんは自分の劇団の若手さんを同行させて、いつも二人で盛り上がっていた。
「生WINDS OF GODの兄貴だー!」と感動しつつ、チラ見した。
待ち時間に、面識がない5、6人で楽屋で待機することになった。今井さんもいた。
私は待ち時間の空気が苦手で、何か仕事がないかキョロキョロしていた。
その時、今井さんが部屋の真ん中の畳の上に座り、いきなり大声で話し出した。
「今日のメイクさんかわいいな。俺、昔メイクさんを好きになったことがあってさー」
なになに?
なんかおもしろいことが始まるぞ。
大御所もスタッフも端役も、今井さんの周りに集まり車座になった。
そこからは今井さんの独壇場だった
早朝からの強烈な下ネタに、ベテラン女優さんはあからさまにムッとしてたけど、私たちはお腹がよじれるほど笑った。
「この人、モテるだろうなあ…」と思った。
そして、当時煮え切らなかった私は、自分の置かれていた環境に疑問を感じ始めた。
私はなんで今の会社に入ったんだろう?
本当はこういう人と仕事がしたかったんじゃないのか?
どんな打算で進路を決めてしまったんだっけ?
今井さんみたいな人と仕事ができる場所に行きたい、行かなければまずいだろう…。
残念ながらそれは叶わなかったけど。
またいつかWINDS OF GOD
観に行こうかな。今度は誰かを誘って。そう思っていた。
それも間に合わなかったなんて。
舞台は決して残すことが出来ない。
いつでも、どんな場所でも一瞬で「舞台」に変えてしまう、そんな今井さんを見ることも、もう二度とできない。
至近距離の下ネタをありがとうございました。
いつまでも忘れません。合掌。